”針と糸”で被災地から希望を紡ぐ〜大槌復興刺し子プロジェクト〜
震災で大きな被害を受けたこの町から、
丹精込めた刺し子の商品で“あったかい“想いを届けているお母さんたちがいます。
大槌復興刺し子プロジェクト
大槌町の避難所からスタートしたこちらのプロジェクト。
避難所では、男性に瓦礫の撤去などの仕事があったそうですが、
女性の方(お母さんたち)には家事の場はなく、仕事はあまりないなど、
活躍のできる場が少なかったとのこと。
そこで、
限られたスペースの中でも「針、糸、布」があればできることとして、
始まったのがこちらの大槌復興刺し子プロジェクトです。
「刺し子」という技術はもともと布を強くするための技術だったといわれています。
擦れて穴が開いた洋服を縫い合わせたり、寒さをしのぐために布を重ねて縫い合わせたり。
そんな、昔から自然とやっていた作業で使われていたのが“刺し子”の技術でした。
こうした技術は日本各地に残っているそうで、何も大槌町に特別に残っていたものではなかったそう。
それを震災のあの時、お母さんたちにできること、
いや、お母さんたちにしかできないこととして活かしたのです。
昔からあった技術だとはいうものの、特別な技術ではなかったがゆえに、
当初、ボランティアの刺し子さん(布を縫う人のこと)でも、その技術を教えられる人は少なかったそうです。
それでもひと針ひと針作業をしていくことで、刺し子さんたちの輪は広がり、
一時期100名もの刺し子さんで作業されていたとのことです。
今回、私たちがお話を伺った運営スタッフの佐々木さんは、震災前までは刺し子をしたことがなかったといいます。
でも、「一歩踏み出してみよう」そんな気持ちから刺し子作業を始められ、
今では刺し子さんたちに作業をお願いするスタッフとしてプロジェクトを支えていらっしゃいます。
(生地の裏側。ひと針ひと針丁寧に縫われています)
今回お邪魔させていただいたのはこちらの作業所。
残念ながら、取材当日は、避難勧告が出るくらいの大雨で、こちらでは作業をされていませんでした。
普段はこのように、和気あいあいと作業をされているそうです。
(残念です汗)
現在は、だいたい20名くらいの刺し子さんたちが集まり、
お母さん世代が多いものの、20代から最高齢では90歳のおばあちゃんも作業をされているみたいです。
刺し子の皆さんは、空き時間にひと針ひと針丁寧に作業したり、
こちらの作業所に集まって力を合わせながら縫い合わせたり。
震災当時は簡単なものから作業されていたそうですが、
今では伝統柄を生かした製品にもより力を入れ、大槌町の新たな産業にすることを目指されているそうです。
「刺し子をしているときは没頭して時間を忘れちゃう」
「ここに集まれることで作業が外に出るきっかけになっている」
そんな声も多く聞くことができるそうで、刺し子の作業をすることが皆さんの楽しみや繋がりの場となっていることをひしひしと感じました。
佐々木さんは何度も、
「おばあちゃんたちと話せる場になって私も嬉しい」
とおっしゃっていました。
『皆さんが家族のようで、そんな温かい繋がりの下これらの商品が生みだされるんだなぁ』と、そんなことを感じました。
より一層ひとつひとつの商品から感じられる“あったかさ”が分かったような気がしました。
震災当時、お母さんたちの活躍の場としてスタートしたこのプロジェエクトですが、
7年たった今では地域の新たな産業になろうと形を変えています。
7年という歳月。
ずっと紡いできた温かい想いとつながりが、地域の新たな希望に変わろうとしています。
こんな素敵な想い溢れる商品が、いろんな人に届くといいなぁ。
(文/ひなた)
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この度は取材をさせていただきありがとうございました!!!