「ひたすらまっすぐやるのさ。」震災後、約2500人に食事と宿を無料で提供してきた大槌の“お母さん”とは
八幡のお母さん
私たちがこの取材企画で大変お世話になった八幡幸子(やはた ゆきこ)さん。
取材で大槌町に滞在する私たちのために、朝昼晩の3食の食事と、ご自宅の部屋を宿として無料で提供してくださいました。
八幡さんは大槌町で「ファミリーショップやはた」という商店を経営されています。
地元の人々が集う、憩いの商店です。
震災後には、お店を経営する傍ら、大槌町に来るボランティアの方々のために、自宅に無償で泊め、温かいごはんと休める居場所を提供してきました。
2011年3月11日、東日本大震災による津波が襲ってから必死でお店を修築し、なんと3ヶ月の早さでお店を再び開店。
その後、多くの人が泊まれるように1000万円の借金をして自宅の改装。7年間で受け入れてきた人々はのべ2500人以上にもなるそうです。借金を背負ってまで、人のために動く行動力、そして、その心の広さと大きさに驚かされるばかりでした。
(壁には今まで受け入れた人たちからの感謝の手紙と写真がいっぱい)
そんな八幡さん、震災当時、自身も津波の被害を受けています。
お店である1階部分は浸水。自宅である2階に逃げ込み、家が流されてしまった近所の人や、車の上に避難していた方を助け、救助を待ったそうです。
その当時の想いを八幡さんは私たちに語ってくれました。
「自分は何をできるのか。それをひたすら問うて1日1日できることをまっすぐやってきただけだった。お店にあった袋入りの商品はまだ食べられるからみんなに配ろうとか、家に布団が沢山あったからそれを避難所に届けようとか。もうひたすらできることをやっていたんだ」
そうして、ひたすら自分にできることをやり続け、
探し続け、
その目はボランティアの人たちにもーーー。
県外から来てくれるボランティアの人たちに、
泥まみれで作業をしてくれるボランティアの人たちに自分は何ができるのか。
ただその想いから彼らを無償で受け入れることに決めたそうです。
「ボランティアに来てくれる人たちが本当にありがたかったの。ボランティアの人たちの力はすんごくて、この人たちが色々やってくれたから、復興してこれた。本当にありがたかったんだよ~。だからみんなに感謝なの。」
八幡さんはここに来た人全員に想いを馳せるように、そうおっしゃっていました。
「自分が好きだからやっているの。何も、人のために何かしようじゃないの。そうすると、自分がここまでやったのに…って思ってしまうでしょ。
だから、自分にできることは何かを考えてひたすらまっすぐやるのさ。」
そう語る姿は優しく温かくて、、、。
八幡さんのお家に滞在して、Pass onメンバーぞれぞれに学びがありました。
八幡さんの心に触れ、メンバーは何を思ったのか。
私たちは何を見たのか。
つづく
(文/広大・ひなた)